芸能人・スポーツ選手等の確定申告コラム

タレント・モデル業の確定申告【詳細解説】

本日はタレント・モデル業の確定申告についてご紹介いたします。

タレントやモデルは個人事業主として確定申告をする必要があるか?

(1)タレントやモデルは給与所得者なのか事業所得者なのか?

タレント・モデルといっても活動内容は色々です。男優、女優、子役、声優、ミュージシャン、歌手、アイドルなどの様々な活動が混在している場合も往々にしてございます。タレントやモデルの皆様が確定申告を行うかどうかを検討する際には、ご自身が「給与所得者」なのか「事業所得者」なのかをまずは確認するところからスタートです。事業所得者ということは、すなわち、個人事業主になりますので確定申告を行う必要があるということになります。

まず、タレント・モデルが給与所得者なのか事業所得者なのかについては一概には言うことはできません。ただ、多くの方が個人事業主として事業所得者となり確定申告を行っています。したがって、「タレント・モデル業は個人事業主として確定申告をする必要があるか?」とご質問をいただきますと、多くのタレント・モデル業の方々が個人事業主として確定申告をしております」と回答をさせていただいております。

ご自身が「給与所得者」なのか「事業所得者」なのかは、次にご紹介します所属プロダクションとの契約形態がどうなっているかに深く関連してきます。

(2)所属プロダクションとの契約形態

タレントやモデルの皆様は通常、芸能事務所(プロダクション)に所属しています。所属にあたっては契約書を取り交わすことが一般的です。その契約書は、大きく分けると、「雇用契約書」、「マネジメント契約書」のどちらかとなります。もし、雇用契約書ということであれば給与所得となりますし、マネジメント契約書ということであれば事業所得となります。

なお、その契約書における報酬形態は大きく分けると以下の3つです。これらはプロダクションとの契約時・更新時等にお互いに納得の上決定されています。

①月給制(固定給料)
②月給制+歩合給
③完全歩合制(フルコミッション)

1点留意点としては、よくテレビやニュースで「給料制」という言葉を聞きます。タレントやモデルの方々がいう給料制という言葉の意味は、便宜上、給料制と言っているだけでして、実際には給与所得ではなく事業所得になるケースが多いというのが私たちの経験則です。理由としては、もし雇用契約であれば最低賃金の縛りがありますが、タレント・モデルという活動の性質上、場合によっては最低賃金を割ってしまうこともあるため、雇用契約の締結が難しいためです。

(3)タレント・モデルとして確定申告を行う必要があるかの判断基準

タレント・モデルが確定申告を行う必要があるかどうかについては判断する場合には、以下について検討する必要があります。

(1)個人事業主としての事業所得が発生しているか?
(2)給与の年間収入金額が2,000万円を超えているか?
(3)給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超えているか?
(4)その他確定申告を行う必要がある一時所得や不動産所得などが発生しているか?

上記のいずれかに該当する場合には、タレント・モデルの皆様は確定申告を行うこととなります。

タレント・モデルが確定申告を行う際に重要な「必要経費」とは?

タレント・モデルの必要経費については、後述いたします確定申告の作業の中において、とても重要な要素を占めています。「収入」についてはタレント・モデルの方の「儲け」であり、実際に儲かっている金額を計算・集計して申告することになりますのでさほど難しくはありません。

一方、必要経費についてはとても判断が難しいものが多いです。ただでさえ、個人事業主の必要経費になるかならないかの判断は非常にあいまいな点が多いのですが、とりわけ「タレント・モデル業」という職業がら、さらにその線引きはあいまいなものとなっております。

ですが、この必要経費、優しい言葉に言い換えるならば、「収入を得るために要した費用」ですが、この金額が多ければ多いほど、収入から経費を差し引いた所得は下がります。所得が下がると税金が下がります。「必要経費」はとても重要な項目なのです。以下ではタレント・モデルが確定申告を行う際に関係するであろう必要経費項目をご紹介します。

(1)人件費・外注費

タレント・モデルの方は、秘書、マネージャー、スタイリスト、付き人等を雇用したり、業務委託でお願いすることがあります。そのような場合には、雇用している人の給料や外部の方に委託している報酬などは、確定申告において「人件費」「外注費」として必要経費に算入することができます。

(2)地代家賃

タレント・モデルの方は、事務所、駐車場、保管倉庫料などの家賃を自分で負担している場合があります。このような場合には、支払っている家賃を確定申告において必要経費に算入することができます。ただし、自宅兼事務所の場合には一部を必要経費計上できます。例えば床面積でお仕事に使っている部分の面積按分計算を行って、何割かを必要経費とすることができます。

(3)賃借料(リース料)

タレント・モデルの方が、お仕事に使う備品や車等のリース代などを支払っている場合には、支払っているリース代(賃借料)を確定申告において必要経費に算入することができます。ただし、例えば車のように、プライベートでも利用しているものがある場合には、合理的な基準により仕事に関連する部分とプライベートな部分とに按分して、仕事に関連する部分のみを必要経費するという点には留意すべきです。

(4)旅費交通費

タレント・モデルは日々の活動に関連して移動が多いことと思います。もちろんご自身でお支払いする機会が少ない方もいらっしゃるとは思いますが、ご自身でお支払いになった電車代、バス代、タクシー代、飛行機代、新幹線等の移動交通費代、ホテル代などは確定申告において必要経費に算入することができます。ただし、他の経費項目と同じで、この旅費交通費についても、プライベート的な要素がある場合には、その部分は必要経費には計上することはできません。

(5)通信・インターネット関連費

タレント・モデルの方々が支払う携帯電話代、固定電話代、ファックス代、インターネット代、葉書・切手代などは確定申告において必要経費に算入することができます。最近はスマートフォンの普及により、タレント・モデルの方々も日々TwitterやFacebookやInstagramを更新して情報発信をしたりと大忙しです。これらの活動に関する通信費は必要経費となります。

(6)広告宣伝費

タレント・モデルの方が自らの広告宣伝のために、例えば、ノベルティグッツやパンフレットやポスターなどを制作したり、ホームページを制作作成することがあろうかと思います。このような場合には、これらに関連した費用は広告宣伝費として確定申告において必要経費に算入することができます。

(7)調査・研究費

この調査・研究費という必要経費は、タレント・モデル特有の項目といっても過言ではないでしょう。タレント・モデルとしての活動に関連して必要とする色々な調査や研究のために支出した費用は、自らの収入をアップさせるための必要経費となります。また、芸能関係の観劇、資料収集、書籍代、セミナー・研修・勉強会、取材旅行、飲食代などの費用、取材費、稽古代なども同様に、自らの収入をアップさせるために支出しているならば必要経費となることでしょう。ただし、この項目は非常にあいまいなところが多いため、税務調査によって調査官と見解が相違するケースがよく見られます。これらの項目を必要経費に算入するためには、合理的な理由が必要となります。

(8)会議費

タレント・モデルの方々が番組・遠征・企画などに関連する様々な会議に要する飲食代や会場費などの費用については確定申告において必要経費に算入することができます。なお、個人事業主は、次の接待交際費と会議費を厳密に区分する必要はございません(マネジメント会社の場合には、会議費と交際費の違いは重要です)。

(9)接待交際費

タレント・モデルの方々は交友関係についてかなり気を遣う必要がありとても大変だと思います。そしてそれに関連する支出も多くなることかと思います。タレント・モデルとしての活動に関連した飲食費、接待費、手土産・プレゼント代、ゴルフ代、ご祝儀、お花代、香典、弔電、御中元、御歳暮、年賀状代など、項目は多岐にわたりますが、合理的な理由があれば確定申告において必要経費に算入することができます。ただし、当然のことながら友人・親族等で事業に関係のない飲食費等は必要経費にはなりません。

(10)PC関連・消耗品費

タレント・モデルの方々が上述の通りスマートフォンにより日々情報発信をしているのと同様に、パソコンも重要な活動のツールです。したがってパソコンの購入費は必要経費となりますし、関連するソフトウェアや、印刷する用紙などPC関連の費用も必要経費となります。また、お仕事に関連した文房具や1台あたり30万円未満の工具や器具なども確定申告において必要経費に算入することができます。

(11)税理士等の報酬・支払手数料

タレント・モデルの方々は、税理士や弁護士などの専門家と契約している場合には、支払っている報酬については確定申告において必要経費に算入することができます。また、その他色々な活動に関連する業務を委託した人に対する手数料、銀行関係の手数料なども必要経費となります。

(12)その他

タレント・モデルといっても、その活動内容は千差万別です。

・芸能活動の事故等に備えた損害保険料、火災保険、自動車保険
・テレビ・舞台出演・撮影のために必要とする美容代、化粧品代、エステ代、衣装代
・芸能活動に関連して生じた事業税、自動車税、印紙税、固定資産税
・事業用の車両の修理代、車検代
・マネージャー等を採用するための求人関連費

など他にもいろいろな必要経費項目が考えられます。タレント・モデルの方の中には、皆さま「この経費がないと収入が獲得できないんだ!」という項目があるものと思います。そのような場合には、税理士に相談しながら必要経費となるかならないかを慎重に検討していく必要があろうかと思います。

タレント・モデルが確定申告を行う場合の手順

タレント・モデルの方に事業所得があるとなった場合には確定申告を行う必要がありますが、ここではタレント・モデルの方々が確定申告を行う際の一般的な手順について解説させていただきます。タレント・モデルが確定申告を行う際の一般的な流れは以下の通りです。

(1)確定申告のための申告用紙を入手する

最初に最寄りの税務署または国税庁ホームページから確定申告書の用紙を入手することからスタートします。いろいろな用紙があってわかりずらいですが簡単に紹介しますと以下のような種類となっています。

確定申告書A
 主に給与所得者や年金所得者の確定申告書です。
 ⇒タレント・モデルの方々でマネジメント会社を設立している場合で給与所得者となっている場合にははこの確定申告書Aを利用する場合があります。

確定申告書B
 主に個人事業者や分離課税対象の所得があ人のための確定申告書です。
 ⇒タレント・モデルの皆様は通常はこの確定申告書Bを入手することとなります。

分離課税用(確定申告書Bとセットで使用)
 土地建物等・株式等を譲渡した場合の所得(譲渡所得)や退職所得などがある人の確定申告書です。
 ⇒タレント・モデルの皆様で上記の所得がある場合にはこれも入手する必要があります。

損失申告用(確定申告書Bとセットで使用)
 所得金額が赤字になる人の確定申告書です。
 ⇒タレント・モデルの皆様でも売れっ子になるまでは事業所得がマイナスになることも十分に想定されます。タレント・モデルとしての収入では食べて行けずアルバイトで生計を立てているという場合には、損益通算を行うことでアルバイトで得た給与に課されている所得税の還付を受けることができる場合があります。

なお、最近は国税庁のウェブサイトである確定申告書作成コーナーからも確定申告書を作成することができますので、以前よりは確定申告書の用紙を入手して手書きで記載する方は少なくなっております。

(2)確定申告書を作成するための必要情報・必要書類を集める

 
タレント・モデルの方が確定申告を行うために必要となる情報や書類は、ケースバイケースなので一概には言えませんが、例えば以下のような書類が必要となります。
・プロダクションからの支払調書又は源泉徴収票
 ※支払調書は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」という種類のものになります。
 ※パーティーへの出演や講演会などを依頼されて受領した報酬についても支払調書を受け取ることとなりますが、こちらも申告が必要です。
・収入が入金されたり、必要経費が出金される通帳
 ※プライベート用口座と事業用口座は分けたほうが管理や説明が楽になります。
・必要経費の領収書や請求書等
 ※家賃や車両費や携帯電話料金など100%を必要経費にしずらいものについては経費算入した割合についての説明も必要です。
・各種控除のための証明書類(生命保険料控除証明書等)

この中で特に大変なのは、必要経費の領収書や請求書等を整理しEXCELにまとめる等の作業です。もちろん領収書ごと税理士に渡して確定申告をお願いするというタレント・モデルの方々も多いと思いますが、ご自身で行う場合には、親族や友人などの協力が不可欠かもしれません。

(3)確定申告書を作成する

必要な情報や書類が集まりましたら確定申告書を作成していきます。確定申告書には色々な明細を添付する必要があります。そして提出用と控え用と2部作成する必要があります。何かあった場合の確認や翌年以降に確定申告書を作成する上での参考となります。この作業は3月15日までに行うこととなります。

ここで白色申告と青色申告で作成する書類が一部異なってきます。白色申告の場合にはいくつかの税務上の恩恵は得られないが貸借対照表を作成する必要がなく経理処理が必要に楽です。一方で青色申告は事前に税務署に「所得税の青色申告承認申請手続」を提出することで、いくつかの恩恵を受けられますが貸借対照表を作成するなど作成する明細が多くなります。青色申告と白色申告の違いについては別の機会でご紹介させていただきます。

先日某テレビ局の番組担当ディレクターの方より、タレント・モデルの確定申告について問い合わせがありました。お話をお聞きすると番組の中でタレント・モデルの確定申告についてのコーナーを設けるとのこと。質問内容は「確定申告書には職業欄がありますが、お笑い芸人の場合何と書くのでしょうか?」というものでした。回答としては、「特に決まりがないため自由ですがお仕事の内容がわかるように記載するべきでしょう」とさせていただきました。弊事務所では、「タレント・モデル」「芸人」「タレント」あるいは少し抽象的ですが「自営業」などの中からお客様に選んでいただいております。

(4)作成した確定申告書を税務署に提出する

作成した確定申告書は提出時の住所地を管轄する税務署に提出することとなります。なお、年の途中で引越した場合には、引越し後の住所を管轄する税務署に提出することになります。その場合には、引越し前の管轄税務署と、引越し後の管轄税務署の両方に忘れずに「納税地の異動に関する届出書」という書類を提出する必要があります。

確定申告は毎年対象となる年の翌年2月16日から3月15日までに行う必要があります。毎年2月16日にはタレント・モデルが確定申告書を税務署に提出しに行くシーンがテレビで放送されたりもします。実際には税務署の窓口に自ら提出に行かれるタレント・モデルの方はほぼ皆無だと思いますが。なお、所得税が還付されることとなる確定申告書の場合には、2月16日を待たずしてなんと1月1日からすぐに提出することができます。

提出方法としては、もちろん税務署に直接持参しても大丈夫ですが、郵送にて送ることも可能です。郵送の場合には控えと切手を貼った返信用封筒を同封することに忘れないようにします。なお郵送の際は消印有効ですので提出期限の最終日の消印がもらえれば期限内申告となります。期限後申告となりますとペナルティがあります。なお、よくタレント・モデルの方がテレビで「e-tax(電子申告)で確定申告をしています」とPRしていますが、実際には個人でe-taxを利用して電子申告を行うことはなかなか大変だというのが実情です。

(5)所得税の納付をしたり、または、還付を受ける

所得税の納期限は確定申告期限と同じ3月15日となっています。所得税の確定申告書を提出する際に、同時に納付書に金額を記載の上、税務署、銀行、郵便局、信用金庫等で納付をします。還付申告の場合には確定申告書を提出して1か月くらいしますと指定口座に還付されることとなります。なお還付申告の場合の指定口座はネット銀行の口座は対応していない場合があるので注意が必要です。

なお、住民税の納付については申告した所得税確定申告書をもとに5月までに決定され6月から納付を開始することとなります。したがって、住民税の巨額な納付書が突然自宅に届くということに備えてしっかりと納税資金を確保しておく必要があります。

確定申告においては「何をしたらいいんだろう?」「どんな書類を集めればいいのだろう?」「どうやって書けばいいのだろう?」と不安になることも多いと思います。確定申告についてお困りの際はお気軽にご相談下さい。ご自身でご自身のことを客観的に見つめ確定申告を行うことはとても難しいと思います。是非、弊社の経験豊富な税理士がお手伝いをさせていただければ光栄です。

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メールでのお問い合わせは右のフォームをご利用いただきますか、またはinfo@shiodome.co.jpまでお願いします。お名前はペンネーム・ニックネーム等でも、また、マネージャーやご親族の方からのお問い合わせでも結構です。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

担当者がお問い合わせ内容を確認次第、すぐにご回答させていただきます。

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