芸能人・スポーツ選手等の確定申告コラム

競輪選手の確定申告【詳細解説】

本日は競輪選手の確定申告についてご紹介いたします。

競輪選手は個人事業主として確定申告をする必要があるか?

競輪選手はそもそも個人事業主として確定申告をする必要があるのでしょうか?まずはこの点について検討を行う必要があります。

競輪選手はプロスポーツ選手であり、個人事業主として活動をしているのであれば当然確定申告を行わなければなりません。アマチュアの時など、会社に所属し活動していた時代は、確定申告に代わる年末調整を会社が行っていたので、もしかすると自分で確定申告を行うことはなかったかもしれませんが、個人事業主になった場合には、ご自身で確定申告を行う必要があります。

競輪選手が確定申告を行う必要があるかどうかについては判断する場合には、以下の点について検討を行う必要があります。

(1)個人事業主としての事業所得が発生しているか?
(2)給与の年間収入金額が2,000万円を超えているか?
(3)給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超えているか?
(4)その他確定申告を行う必要がある一時所得や不動産所得などが発生しているか?

上記のいずれかに該当する場合には、競輪選手の皆様は確定申告を行うこととなります。

競輪選手の収入源はどのようになっているか?

上記のうち、特に重要な論点が(1)でしょう。事業所得を考える上で、まず重要な項目が「収入」です。ここでは競輪選手の収入源について見ていきたいと思います。競輪選手の収入源というのは、一般的にはどのようになっているのでしょうか。

競輪選手の収入は、基本的にレースに出場した際にもらうことができる、(1)賞金、(2)出走手当、(3)雨敢闘手当、(4)正月手当などから構成されております。

(1)賞金

賞金とは、レースの先着順に応じて支払われる金額のことです。レースで失格になった場合は賞金が支払われることはありません。競輪の出走数は9車固定ですので、途中棄権した場合には、棄権した選手が自分1人だったならば、9着賞金はもらえますが20%が減額となります。

(2)出走手当

出走手当とは、その名の通り、良い結果を出すことができなかったとしてももらえる収入です。例えば、1回競輪が開催されて、3~4レースに出場すれば、出走手当を支給してもらうことができます。

(3)雨敢闘手当

雨敢闘手当とは、天候が悪くて、雨や雪が降ってしまったという場合にもらえる収入です。

(4)正月手当

正月手当とは、正月などの正月三が日に競輪に参加することでもらえる収入です。

(5)その他

そのほかの収入としては、競輪選手は競輪に参加するため会場に行く必要がありますが、その際に交通費の支給を受ける場合があります。また、参加している競輪選手で、先頭誘導員資格を所有しているのであれば、大会で先頭誘導員を行うことで、先頭誘導員を行うたび誘導員手当というものをもらうこともあります。

競輪選手の平均年収はどのくらいか?

このように競輪選手は賞金以外にもいろいろな収入があるのですが、では、競輪選手というのは、実際のところ、どれぐらいの平均年収があるのでしょうか。例えば、競輪選手として日々トレーニングを行い、何とかB級クラスで出場できるようになったとします。こちらのクラスで競輪に参加することになった場合、平均年収は300万円程度であるといわれています。

最上位のS級S班の競輪選手は、年収が1億円を超えますし、S級1班の選手で年収は平均で約3,000万円となっているので、競輪選手はとても収入が高いと思われる方も多いと思いますが、平均として考えた場合にはそんなに高い金額ではないようです。競輪業界全体の売上が減少していることもありますので、賞金額が減っており、競輪選手の平均年収は下降気味であります。

競輪選手の平均年収は、実際のところは400~500万円程度というのが現実的な数字ではないでしょうか。

競輪選手特有の経費項目について

競輪選手が、確定申告をする際には、賞金やその他の様々な手当に関しては収入項目として確定申告に織り込んでいく必要がありますが、これらの賞金やその他の手当から必要経費を引いて所得を計算し、納付すべき税額を計算し納税する必要があります。よって、実際に何が必要経費になるのかということが重要になってまいります。

競輪選手の必要経費にはどのようなものがあるのでしょうか。競輪選手として活動を行っていると様々な場所で経費がかかってきます。どこからどこまでが必要経費となり、どこからどこまでが必要経費とならないのかについては理解しておかなければ、確定申告の際に正確な計算を行うことができませんし、また、節税対策を行うこともできないでしょう。以下では競輪選手特有の経費項目についてみていきたいと思います。

(1)消耗品費(例:自転車関連 e.t.c.)

競輪選手として活動を行うためには、自転車のタイヤなど、様々な消耗品を購入して利用することとなります。これらの消耗品に関しては、消耗品費として必要経費にすることができます。また、競輪選手は日々トレーニングを行う必要があると思いますので、トレーニング用品を購入した際の費用も必要経費とすることが可能です。また、経理などを行うために事務用品を購入した際も、必要経費とすることが可能です。

(2)修繕費(例:競輪の道具を修理する場合の費用 e.t.c.)

競輪に必要な消耗品を購入する際などは、必要経費になるということを理解していただけたと思いますが、競輪の道具の修理のために必要になる経費は、消耗品費としてではなく修繕費として必要経費とすることができます。

(3)旅費交通費(例:競輪場までの交通費 e.t.c.)

競輪に参加するために現場まで行かなければなりませんが、通常なんらかの交通費が必要となるでしょう。そのときの状況によって、電車を利用したり、バスを利用したりすることがあると思います。遠方の場合には宿泊費も必要となることでしょう。車で競輪場まで行った際は、無料の駐車場があれば良いのですが、駐車場がない場合は、駐車料金を支払わなければいけません。このように、競輪場に行くまでに、様々な旅費交通費が必要となりますが、これらの費用は必要経費とすることができます。

(4)業界団体会費

競輪を行っていると業界団体会費を支払う方もいると思いますが、業界団体会費は必要経費に入れることができるます。競輪選手が、通常会費(団体が会員のために行う広報活動、研修指導、その他通常の業務運営などのための経常費用の分担金として支出する会費)については、支出した年確定申告において必要経費とします。ただし、同業者団体において、通常会費について不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、その剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、剰余金が適正な額になるまで前払費用として資産に計上します。なお、通常会費の全部又は一部をその他の会費の使途に支出している場合には、その部分はその他の会費として取り扱われます。

(5)トレーニングルームの利用料金

競輪選手がトレーニングを行う場合、トレーニングルームを利用することがあります。トレーニングルームはトレーニングをするための施設ですので、利用するために料金が必要な場合があります。このとき、自分のトレーニングのために利用するトレーニングルームの料金に関しては、確定申告の際に必要経費とすることができます。

(6)税理士や弁護士やコンサルタントに支払う報酬

競輪選手が、確定申告の手続きを委託するため税理士と契約をする場合や、仕事がらみでトラブルに巻き込まれ弁護士に訴訟関係をお願いする場合もあるでしょう。これらの税理士や弁護士、その他コンサルタントに支払う報酬についても必要経費とすることができます。

競輪選手が確定申告を行う場合の手順

競輪選手が確定申告を行う際の一般的な手順について、以下ご紹介させていただきます。

(1)確定申告のための申告用紙を入手する

最初に最寄りの税務署または国税庁ホームページから確定申告書の用紙を入手することからスタートします。いろいろな用紙があってわかりずらいですが簡単に紹介しますと以下のような種類となっています。

確定申告書A
 主に給与所得者や年金所得者の確定申告書です。
 ⇒給与所得の方はこの確定申告書Aを利用する場合があります。

確定申告書B
 主に個人事業者や分離課税対象の所得がある人の確定申告書です。
 ⇒競輪選手の皆様は通常はこの確定申告書Bを入手することとなります。

分離課税用(確定申告書Bとセットで使用)
 土地建物等・株式等を譲渡した場合の所得(譲渡所得)や退職所得などがある人の確定申告書です。
 ⇒競輪選手の皆様で上記の所得がある場合にはこれも入手する必要があります。

損失申告用(確定申告書Bとセットで使用)
 所得金額が赤字になる人の確定申告書です。
 ⇒競輪選手の皆様で所得金額が赤字になることはあまり想定されないと思いますが、もし大きな必要経費がかかって赤字となる場合にはこの用紙を入手することとなります。場合によっては競輪選手になったばかりの際には、自転車を購入したりトレーニングルームを用意したりと設備投資が大きくなった場合には赤字になる可能性はあります。その場合には、しっかりと赤字額を申告し翌期以降の確定申告で相殺できるようにしましょう。

なお、最近は国税庁のウェブサイトである確定申告書作成コーナーからも確定申告書を作成することができますので、以前よりは確定申告書の用紙を入手して手書きで記載する方は少なくなっております。

(2)確定申告書を作成するための必要情報・必要書類を集める

 
競輪選手の方が確定申告を行うために必要となる情報や書類は、ケースバイケースなので一概には言えませんが、例えば以下のような書類が必要となります。
・賞金・手当の支払調書又は源泉徴収票
 ※支払調書は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」という種類のものになります。
 ※競輪選手が講演会などを依頼されて受領した報酬についても支払調書を受け取ることとなりますが、こちらも申告が必要です。
・収入が入金されたり、必要経費が出金される通帳
 ※プライベート用口座と事業用口座は分けたほうが管理や説明が楽になります。
・必要経費の領収書や請求書等
 ※家賃や車両費や携帯電話料金など100%を必要経費にしずらいものについては経費算入した割合についての説明も必要です。
・各種控除のための証明書類(生命保険料控除証明書等)

競輪選手の皆様は、基本的にはシーズンオフがないため、お忙しいのでなかなかこれらの準備を行うのが大変だと思います。特に大変なのは、必要経費の領収書や請求書等を整理しEXCELにまとめる等の作業です。もちろん領収書ごと税理士に渡して確定申告をお願いするという競輪選手の方々も多いと思いますが、ご自身で行う場合には、親族や友人などの協力が不可欠かもしれません。

(3)確定申告書を作成する

必要な情報や書類が集まりましたら確定申告書を作成していきます。確定申告書には色々な明細を添付する必要があります。そして提出用と控え用と2部作成する必要があります。何かあった場合の確認や翌年以降に確定申告書を作成する上での参考となります。この作業は3月15日までに行うこととなります。

ここで白色申告と青色申告で作成する書類が一部異なってきます。白色申告の場合にはいくつかの税務上の恩恵は得られないが貸借対照表を作成する必要がなく経理処理が必要に楽です。一方で青色申告は事前に税務署に「所得税の青色申告承認申請手続」を提出することで、いくつかの恩恵を受けられますが貸借対照表を作成するなど作成する明細が多くなります。青色申告と白色申告の違いについては別の機会でご紹介させていただきます。

(4)作成した確定申告書を税務署に提出する

作成した確定申告書は提出時の住所地を管轄する税務署に提出することとなります。なお、年の途中で引越した場合には、引越し後の住所を管轄する税務署に提出することになります。その場合には、引越し前の管轄税務署と、引越し後の管轄税務署の両方に忘れずに「納税地の異動に関する届出書」という書類を提出する必要があります。

確定申告は毎年対象となる年の翌年2月16日から3月15日までに行う必要があります。なお、所得税が還付されることとなる確定申告書の場合には、2月16日を待たずしてなんと1月1日からすぐに提出することができます。

提出方法としては、もちろん税務署に直接持参しても大丈夫ですが、郵送にて送ることも可能です。郵送の場合には控えと切手を貼った返信用封筒を同封することに忘れないようにします。なお郵送の際は消印有効ですので提出期限の最終日の消印がもらえれば期限内申告となります。期限後申告となりますとペナルティがあります。

(5)所得税の納付をしたり、または、還付を受ける

所得税の納期限は確定申告期限と同じ3月15日となっています。所得税の確定申告書を提出する際に、同時に納付書に金額を記載の上、税務署、銀行、郵便局、信用金庫等で納付をします。還付申告の場合には確定申告書を提出して1か月くらいしますと指定口座に還付されることとなります。なお還付申告の場合の指定口座はネット銀行の口座は対応していない場合があるので注意が必要です。

なお、住民税の納付については申告した所得税確定申告書をもとに5月までに決定され6月から納付を開始することとなります。したがって、住民税の巨額な納付書が突然自宅に届くということに備えてしっかりと納税資金を確保しておく必要があります。

財団法人全国競輪選手共済会が行う共済事業の給付金に対する所得税の課税

少し細かい論点ですが、財団法人全国競輪選手共済会が行う共済事業の給付金に対する所得税の課税についての取り扱いをご紹介します。競輪選手が共済会より受け取る給付金について所得税の課税対象となるかどうかについては以下の通りとなっております。

(1)課税しないもの

医療給付、はい疾給付、罹災給付、傷病見舞金給付、分べん給付および結婚給付に関しては、その給付した理由や給付金額から考えて、所得税を課税しないとしています。

(2)課税されるもの

療養給付された場合、課税に関してどうなるのかと説明しますと、所得税法第9条第1項第10号に規定する雑所得に当てはまるということで、所得税を課税しなければなりません。退職給付および遺族給付に関しては、その給付を受ける人の同条第1項第9号に規定する一時所得に当てはまるということで、所得税を課税しなければなりません。そして、退職給付による一時所得の計算に関しては、退職した人間が会費として同共済会に納めていた金額を、その収入を得るために支出したと考えて控除することとなっています。

確定申告においては「何をしたらいいんだろう?」「どんな書類を集めればいいのだろう?」「どうやって書けばいいのだろう?」と不安になることも多いと思います。確定申告についてお困りの際はお気軽にご相談下さい。ご自身でご自身のことを客観的に見つめ確定申告を行うことはとても難しいと思います。是非、弊社の経験豊富な税理士がお手伝いをさせていただければ光栄です。

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